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あせらずゆっくりちょっとずつ。|福井県ひきこもり地域支援センター

これまで、就職や転職というステージへの前進を前提に、ハローワークや地域若者サポートステーションなどの支援機関を紹介してきました。

本メディアをご覧になられる方の中には、そういったステージへ向かう意欲や気力が十分にあるという方だけでなく、何らかの事情により、そもそも社会とのつながりが希薄になってしまっているという方もいらっしゃるのではないかと思います。

今回は、そんな状況の当事者である方、またそのご家族の方に向けて、福井県ひきこもり地域支援センターを紹介させていただきます。

担当の粟津さんにお話を伺いました。

担当者のお話

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ー粟津さん、今日はよろしくお願いします。福井県ひきこもり地域支援センターとは、いったいどんな場所なんでしょうか?

はい。一言で言えば、ひきこもりに関するあらゆる相談に、ひきこもりのご本人やご家族からの相談を受ける機関です。

具体的には、まずは個別相談(来所での相談)と電話相談。それから、ひきこもりのお子さんがいて、同じような悩みを持つ親御さんが集まっての「親の会」を月1回。

あとは、「フリースペース」という、少し外出できるようにはなったけど、まだ仕事をするのはちょっと…というようなみなさんが集まって交流する場。これは週に2回開いています。令和2年度からは小浜市にあります嶺南サテライトでも同じような取り組みを行なっています。

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ーフリースペースについてもう少し詳しく聞かせてください。

福井市のセンターでは毎週火曜日と木曜日の10時半から2時半(昼食の時間は除く)にフリースペースを開いています。

利用時間内であれば入退室自由です。10時半に2、3人ぐらい、11時半ごろになると、5、6人になっていて、午後になると10人くらいになっているときもあります。年代は20代から40代前半ぐらいまでの方が多いです。

男女の参加人数に差があったり、来られる方の年代の幅が大きかったりもするので、年に数回ですけれども「女子会」や「中高年の会」というのも試行的に実施しています。

嶺南サテライトでは金曜日の午後に同じような形でフリースペースを開いています。

ーセンターへの相談はどのような経路でくることが多いんでしょうか?

基本的にご家族からのご相談が一番多いです。(センターの存在を)どこで知るかということについては、ネットで「福井県 ひきこもり」と検索をして見かけたという方が一番多いです。

あとは県内の各市町にも相談窓口が設置されていて、そこからこちらに繋がってくるということもあります。

また、令和3年の春先に県内のひきこもりの相談機関の一覧表を17市町全部の回覧板に入れてくださいとお願いして配布していただいたことがありましたが、そういう機会を通して目にしていただくと、相談が急に増えたりすることもあります。

ただ、どうしてもひきこもり地域支援センター自体の知名度がまだ低いので、そういう普及啓発は(センターとしても)課題になっています。

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ー言える範囲で構わないのですが、センターに来られるご家族の方の相談の趣旨にはどのようなものが多いですか?

それぞれではあるんですが、代表的なものはやはり親御さんから「働いてほしい」という相談ですね。

親御さんが(息子・娘が)働くことは諦めていたり、もしくはちゃんとご本人の状況を飲み込めていると、「働いてほしいとは言わないからせめて外出できるようになってほしい」とか「スーパーに買い物にいったり、自分の身の回りのことは自分でできるようになってほしい」とか、50代になる息子さん娘さんとかのご相談もあるので、そういった趣旨のご相談が多いです。

とはいえ、心の中のどこかでは、働いてもらえるといいなぁという思いが残っていらっしゃる親御さんが多いという印象はあります。

ただちょっと、今回の就職氷河期世代応援メディアの趣旨とは逆行するかもしれないですけど、働くことをゴールにするとなかなかうまくいかなくなることがあるので、センターとしてはあまり就職のことを前面に出しての支援はしてないです。

相談の中で、仕事がしたいという方にはハローワークを紹介するし、仕事に興味があるなという方にはサポステさんを紹介するし、働くことに興味はないという方には、まずうちのセンターに通ってみて、フリースペースで少しずつ家族以外の他者と交流をしてもらえると良いなという感じです。

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ーそれぞれにあったペースが大事?

はじめは働くことへの興味がない人も、(フリースペースで出会った仲間の)誰かが働きだすと、プチ就労ブームみたいなのが起こったりするんです。

僕らが話すことと当事者さん同士で話すことはちょっと意味合いが違ってくるというか。

我々としては、エネルギーがなくなっている状態の方を支援しているので、とにかく元気になってもらうことが一番だと考えています。

元気を取り戻す過程で変わっていって、その中で就労したいというのであれば、サポステやハローワークや、就労支援を行なっている事業者さんに繋げていくというようなスタンスで支援をしています。

ーこれから少しずつ前に進みたいというみなさんへメッセージがあればお願いします。

もちろん、就職したいという意欲を持つ方についてもサポートをしていきます。ですが、就職氷河期世代だからどうこうというよりは、焦らずゆっくりやっていくことが大事だと思っているので、まずはしっかり休んで、少しずつ一緒にやっていきましょう、ということがお伝えしたいことです。

周りで働く同世代なんかを見て、その焦りから「働かなきゃ」と思っている状況であれば、もうちょっとゆっくりやっていきましょう、と。

休んでみたうえで、自分が何をどうやっていきたいのかなぁと、その人のペースに合わせて一緒に考えて、ちょっとずつでも諦めずにやっていけるといいなと思います。センターは、「ホッとサポートふくい」に属した機関であり、様々な機関(例えば、サポステやスクラム福井)とも連携をとっていますので、是非一度頼ってみてほしいと思います。

いろいろ焦らずゆっくりと、親御さんも含めて進めていけるとうれしいです。

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ー福井県ひきこもり地域支援センターのみなさん、ありがとうございました!

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公認心理師、保健師、社会福祉士といった専門資格をもったスタッフが常駐しており(粟津さんは公認心理師)、初めての相談も安心してできる福井県ひきこもり地域支援センター。

現在の状況を少しでも改善してみたいという思いがあれば、思い切って一度連絡してみるのもいいかもしれません。

【支援機関情報】

WEBサイト福井県ひきこもり地域支援センター(ホッとサポートふくい)
所在地|〒910-0026福井県福井市光陽2丁目3-36(県総合福祉相談所 内)
TEL|0776-26-4400