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ハローワーク福井 支援プログラム紹介

以前に「明日へのたより」でも取材をさせていただいた公共職業安定所「ハローワーク」。

福井にも県内6箇所にハローワークが設置されています。

今回の記事では、前回の取材では伺いきれなかった就職氷河期専門窓口の就職支援プログラムについてご紹介していきます。

―担当者のみなさん、今日はどうぞよろしくお願いいたします。
さっそくですが、求職者の方がハローワークでの支援を受けるまでの流れを改めて教えていただけますか。

求職の申し込みをしていただく方法としましては、ハローワークの相談窓口で求職申込書を提出していただき登録する方法と、ハローワークインターネットサービスよりオンラインにてご自宅でも登録可能な二つの方法がございます。

オンライン登録していただいた方につきましては、ハローワークへ来所いただきその目的別に様々な専門窓口でのご相談の受付が可能となります。
 
「就職氷河期世代の安定就労に向けた支援」の支援内容には、
①    自己理解支援(TA)
②    仕事理解支援(キャリアコンサルティング)
③    応募書類作成支援(応募書類添削)
④    面接準備支援(模擬面接)
 
基本的に、③応募書類作成支援につきましては、予約なしでもその場で支援をさせていただいています。

それ以外の、①自己理解支援、②仕事理解支援、④面接準備支援は予約制で行っています。

予約制の支援についてはご本人から要望がある場合もありますし、相談を続けていく中で支援の内容を説明し提案させていただく場合もございます。

ご本人が必要とあれば改めて予約をとってもらい別日で支援を行います。

この支援プログラムは必ずしも4つセットで行わなければいけないというものではなく、必要な支援をお選びいただけます。

―そういった支援が受けられるということを来所前に知ることはできるんでしょうか?

ホームページに情報が掲載されておりますし、LINE公式アカウントやInstagramなどでも発信をしています。

連携を行っているサポステふくい(地域若者サポートステーション)でも、ハローワークの支援プログラムについてはご案内いただいています。

求職登録をされている方には郵送でセミナーや説明会の情報をお送りしたりもしています。

―ありがとうございます。実際の支援内容について改めてお伺いしたいのですが、前回の記事でも特に大事とおっしゃっていた「自己理解支援」についてはどのような形で進んでいくのでしょう?

やり方はいくつかあるのですが、まず「交流分析」を行います。

これは、自分や他人の捉え方、考え方(人間観)の把握です。

自分のことをどう見ているか、他人のことをどう見ているか、他人から自分がどう見られているかを可視化するため、質問により数値化しグラフにします。

このグラフをもとに本人特性を読み解き人間観を明確にしていくことで自己理解を深めていただきます。

このワークは求職者の方から希望される場合と、求職者の状況を見ながらハローワークからお声がけする場合があります。

例えば面接に進んでもなかなか採用にならない、自分の伝えたいことが伝わらない。会社に入社しても長く勤めることに難しさがあるなど、自分の長所や特性に気付いていないと感じることもあります。

そのときに、「実際の自分はどういう人なのか」をその人自身に気付いてもらうために自己理解支援(交流分析)の提案をします。
 
ただ、それをストレートに言うとなかなか受け入れてもらえないこともあるので「職場の同僚とはどのような関係が望ましいか」「職場環境がよい会社に長く勤めるには」「理想とする仕事と自分の人生との関係性は」などを本人に問いかける中で、自己理解支援に対して興味を持っていただけることがあります。

―「仕事理解支援」はどのようなものになりますか?

仕事理解の場合はその職種はどういう仕事かということと、本人の適性や興味を知ることです。

今までやってきた職種や、その人が仕事をしていく上でこだわっていること、ベースとなっているものが何かというところから、それを活かせる仕事はどんなものかと見ていくと、別の角度からも適性を見ることができます。

また、その人がどういう仕事に興味を持つか、どういう価値観を持っているかというところから浮かび上がる職種もあります。

それを合わせながら、全体的な適性を見ていくのが、いわゆる仕事理解の支援内容です。

自分がどういう人間で、どのように仕事を捉えるか、それはどのような将来・人生につながるのかという、大きくいうとそのような考え方です。

具体的な進め方としては、まず、キャリアシートを書いてもらいます。

これまでどんな仕事をしてきたのか、どういうことができるようになったのか、何を学んだのか、どのようなことを大切にして仕事をしてきたのかということを表にします。

そして、厚生労働省が提供している「jobtag(ジョブタグ)」というサービスを使って適職探索をしてもらいます。ネットでできますし、このサイトはすごくいいですよ!

これらの資料を活用してもう一度面談をします。

そうすると、キャリアシートと合わせて自分の仕事のやり方とか、ベースになっているものが出てくるので、職種が大事なのか、環境が大事なのかということがなんとなく分かるようになってきます。

―「応募書類作成支援」はさきほど教えていただいた通り、予約がなくても窓口に来ていただければ、その都度ご対応していただけるということですよねあとは「面接支援」。

そうですね。面接支援は1時間ほどでの実施となります。
求職者1名に対し、企業での人事・労務経験のある職員が面接官となり、また複数名で模擬面接をする場合もあります。

―模擬面接の内容については、面接時の所作であったりとか、そういったところのアドバイスがメインなのでしょうか?

基本的な所作が綺麗かどうかももちろん確認しますが、いわゆる面接の様式をなぞるというより、メインは「今あなたの姿はまわりからどのように見えているか」ということを中心にお伝えしています。

質問への応答、様子を見て「どのように感じたか、伝わったか」をお伝えします。そこに本人の想定とギャップがあるかどうか、その方が本当に伝えたかったことは何かの確認、それが伝えられているかを確認し本人へ伝え返しています。

面接では「何を伝えたいのか、自分がどんな人間か、何が他の人と違うか」を思ったように「伝える事」の方が大事だと思っています。

―これまでの支援を経て求職者の方が就職されてからも、定着支援という支援があるとお伺いしています。どのような内容の支援になるのでしょうか?

担当している氷河期世代の方が採用されたら、「私にはいつでも相談できる人がいる」と認識していただく為、タイミングを見て手紙や電話で幾度か連絡を入れ現状確認を行います。

その結果、お昼休みに相談の電話があったり、また職場の中で伝えられないことは窓口に来て相談いただけたり、ある意味でメンタルヘルスケアとしても効果があると感じています。

相談内容は様々ですが、協力者がなかなか見つからないとか、技術の習得方法が分からないとか、伝えたいことがうまく伝わらない、などの相談が多いと思われます。

仕事の内容が合わないという方もいらっしゃいますが、初めて経験する仕事だった場合はどうしても慣れるまで時間はかかりますし、慣れた仕事だったとしても会社によってやり方が違ったりします。

そこをどのようにして自分のものにするかは先に会社で仕事をしている先輩たちとのコミュニケーションの取り方だと思っています。

なので、相談があればまずは一緒に本人の気持ちに寄り添い本人が考える問題点を整理します。

誰が協力者・支援者なのか、何が優先する問題点・課題点なのか、を問いかけながら気づきを促して整理します。対人関係がより向上することで、職場環境に適応し長く勤めることが可能となると考えます。

―求職者であった方が勤められた会社にできるだけ長く勤められるようにということに重きを置くというのが前提だとは思いますが、場合によっては転職を一緒に考えてみるということもあるのでしょうか?

転職の相談もあります。ただし、転職したら本人の問題が解決し望む状況になるのかどうかの判断が必要です。

今の働いている会社の中で実現できなかったことがあるから他の会社でそれを実現させるために転職するということだと思いますが、今の会社を出て自分のやりたいこと、ありたい姿を実現できるかできないかということはまず考えてもらうようにしています。

どういう状態なら今の職場で続けられるのだろうっていうことも考える。

そこで継続勤務が物理的に無理ということであればそれは転職になると思います。そのような考え方をしています。

―定着支援も含め、今回お伺いしてきた5つの支援というのは、他のハローワークでも同じような内容での支援を行っているのでしょうか?

自己理解支援と交流分析だけは、ハローワーク福井独自の手法です。

交流分析に関しては、ここまで踏み込んだ支援ができる職員というのがそもそも少ないと思います。

もちろん他のハローワークでも就職氷河期世代に限らず求職者へのサポートとして自己理解支援は行っているのですが、ハローワーク福井の場合は就職氷河期世代の専門窓口として掲げていることもあるので、手厚い支援を行えていると思います。

就職氷河期世代として正社員就職実現のために課題に応じた各専門相談員によるチーム支援や個別就職相談会を行っているのもハローワーク福井の特徴だと思います。

個別就職相談会は2ヶ月に一度、毎回3名の枠で実施しています。

就職に向けた具体的な相談というよりは、一緒に状況や課題の整理をしながら、どこからスタートするか、そもそもスタートするのが良いのかというところから、ハローワークの各専門支援窓口と連携・協働して話を聞いていくようなことも多いです。

―福井県内に住んでおられる就職氷河期世代の方々にとっては、比較的充実したサポートが受けられる体制がハローワーク福井にはあるということですね。

―最後になりますが、今後取り組んでいきたいことや、他の支援機関・企業と連携して実現していきたいことなどがあれば教えていただきたいなと思います。

就職氷河期世代支援対象者に対し、会社訪問をして職場の様子を見学する「事業所見学会」を始めました。仕事に対して理解を深めていただいて自分に合う仕事を探してもらうということを趣旨としています。

先日第1回目を開催しまして、そこに参加した方の感想から、一人ではなく職員も同行してグループでの訪問だったから、初めてこういう機会に参加することができた、行動に移せたという方もいらっしゃいました。そういう感想をいただくと、やっぱりこういう機会というのは積極的に作っていかないといけないと強く感じています。

こういう場に参加すること自体が、その人にとっては貴重な経験ですし、もちろん知識の中での仕事理解も大事なのですが、行動に移してみることも大切だと思います。
まだ始まったばかりの企画ですので、半年に1回くらいのペースで続けて開催していければと思っています。
また、ハローワーク職員側も会社訪問などを通して企業の採用担当者様と顔見知りになることで、求職者の方がその企業に就職されたとき効果的なフォローができると思っています。

求職者に対しての支援だけではなく、企業の人事の方に「こういう風にしてもらえるといい」など求職者ニーズをお伝えすることで相乗効果が得られると思います。もちろん、求人者支援の相談窓口では既に実行済みですけど、求職者支援の相談窓口としても関係性が築けると、違う角度からのサポートもできると思います。もう一歩、関係性を近づけていきたいですね。
 
私たちがこの仕事を進めるうえで一番大切にしていることは、
「人生においてその大半を占める“仕事”の時間。この時間が充実し満足するものであれば、自ずと人生は充実したものとなる」という考えです。私たちは、求職者の方が、仕事を通して自分の人生を充実できるよう、精一杯ご支援いたします。

―ハローワーク福井のみなさん、ありがとうございました!

【支援機関情報】

WEBサイト|https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/hw.html

ハローワーク 福井
所在地|〒910-8509 福井市開発1丁目121-1
TEL|0776-52-8150(代表)

ハローワーク 武生
所在地|〒915-0071 越前市府中1丁目11-2 平和堂アル・プラザ武生4階
TEL|0778-22-4078

ハローワーク 大野
所在地|〒912-0087 大野市城町8-5
TEL|0779-66-2408

ハローワーク 三国
所在地|〒913-0041 坂井市三国町覚善69-1
TEL|0776-81-3262

ハローワーク 敦賀
所在地|〒914-8609 敦賀市鉄輪町1丁目7-3 敦賀駅前合同庁舎1F
TEL|0770-22-4220

ハローワーク 小浜
所在地|〒917-8544 小浜市後瀬町7-10 小浜地方合同庁舎1F
TEL|0770-52-1260

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