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求職活動体験者インタビュー|山本さん(41歳)

「求職活動体験者インタビュー」とは

就職氷河期世代の当事者として実際に求職活動に取り組まれた方のお話をじっくりとお伺いし、その体験談の中から少しでも明日に向きあうヒントを見出していただくための記事です。

山本さんの場合

ー山本さん、今日はよろしくお願いします。さっそくですが、現在の状況を簡単に教えていただけますか。

現在、41歳です。1年ほど前から、物流関係の事業所でパート社員として仕分けの仕事をしています。

ー現在に至るまでの来歴を、可能な範囲で結構ですので教えていただけますか?

はい。県外の大学を中退して、そのあとに入った専門学校も1年くらいで辞めちゃって、それで福井に戻ってきました。そこからは別に就職しようという感じでもなくてコンビニのアルバイトを始めたんですけど、それが長いこと続いていて。
それで、2年ほど前にそのアルバイトを辞めて、就職活動を始めました。知り合いにサポステを紹介してもらって、サポステを利用中に今の会社を見つけて、企業見学などを経て現在に至る感じですね。

ーありがとうございます。ずっと続けてきたアルバイトを辞めて、就職活動をしようと思ったきっかけはなんだったんですか?

深夜のアルバイトをずっとしていたんですけど、体力的にもきつくなってきて。何も保証がないし、自分の歳が40歳になったのをきっかけに、ちゃんと昼間の仕事で働きたいなと。昼夜逆転の生活で結構ストレスもたまって、一緒に暮らしている親と喧嘩してしまったりしたこともあったので。

親は「就職しろ」とか「もっと稼げ」とかそういうことは言わないんですけど、だいぶ高齢ではあるので、親が死んだときに自分がこのままだと1人で生活できないんじゃないかと不安になってたということもあって、そこを解消したかったですね。

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ーなるほど。そこからは知り合いに紹介してもらったサポステを通して就職活動に取り組まれたんですか?

そうですね。1週間に2〜3回は通って、サポステのセミナーとかにも結構出てましたね。セミナーに参加することで、自分自身がちゃんと前に進めているという実感を持てたと思います。大学・専門学校を通して「働く」ということに関しての方向性が全くわからない状態だったんですけど、サポステで職業診断なんかを繰り返していくなかで、自分に向いている職種が少しは絞られていったかなと。

それから、サポステ主催の合同企業説明会に参加したときに出展していた何社かの企業のうちのひとつが今の会社でした。そのときはなんとなく話を聞いてたんですけど、後日その会社を見学できるという機会があって、それで実際に現場を見て、「この会社だったら」と思って、すぐ応募をしました。

ー「この会社だったら」と思えた理由はなんだったんですか?

会社見学に行ったとき、ちょっと早く着きすぎたんです。そのときに「ここで待っててください」と待たされた場所が社員さんの休憩室も兼ねてたんですよね。ちょうどそのタイミングで休憩してる人が何人かいて、みんなで喋っていて。そこで会社の雰囲気がちょっとわかって、ここだったら自分に合ってるんじゃないかなと思いました。

ー雰囲気が合っていたんですね。応募されてからは、面接の練習などもされたんですか?

そうですね。サポステで応募のときから履歴書の書き方とかもいろいろとサポートしてもらいました。応募してから面接までは1〜2週間ぐらいしかなかったと思うんで、その間に何回か面接練習もさせてもらって。

ー実際の面接試験はどうでしたか?

うーん、緊張するとなかなかうまいこと話せないんで、そこまでうまくいったとは思わないんですけど。でもそのときは自分のことをとりあえず相手に伝えようって。良くも悪くも自分なりの言葉で伝えようと感じだったんで、うまく喋れたかわからないですね。けど、素直な気持ちを伝えました。

ーその誠実さが採用につながったのかもしれませんね。実際に働き始めてみた感想はいかがですか?

そうですね。結構上の先輩とか上司に自分より年下の人がいたりして、初めはちょっと戸惑いました。でもそこはもう年齢じゃなくて会社の入社時期で行こうと決めて、年上だろうがどんなに若かろうが皆「さん付け」でやっています。そこに対して今はストレスはないですね。仕事で、たまたま何回か同じような世代の人と一緒になったりして、そういう人たちと喋るようにはなりました。

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ー会社の中で今後やりたいことや目指していきたいことはありますか?

仕事の幅を増やしていきたいなと。物流関係なんで、フォークリフトとかの免許もいずれは取得して会社に貢献したいなとは思ってます。一応、正社員になるというシステムもあるみたいなんで、だいぶ先のことになるかもしれませんけどいずれはと思ってますね。

ー就職活動を振り返ってみて、「これに支えられたな」というものがあれば教えてください。

もしもサポステがなかったら、ダラダラとバイトを繰り返して、もう本当にどうなったかわからないなって思うときはあります。個人で就職活動を進めていたら、面接の練習とか履歴書の書き方とか全部自分でやっていかないといけないから大変だっただろうなと。

あとはやっぱりうちの親ですね。「早く就職しろ」とか、そういう言葉をかけられてたら、またそこはまた違ったのかなあと。プレッシャーをかけずに何も言わずに見守ってくれたので、そういう面では親に感謝してますね。

それと、ちょっと違う話かもしれないですけど、ぼくの場合は昼間に働きたいということで仕事を辞めて、そのときは正社員へのこだわりもなかったんです。とりあえず生活できるような範囲のお金を稼ぐためにどんなバイトや仕事があるのかなという情報を集めていて。正社員という立場にこだわると選べる幅が狭くなっちゃうと思うので、(はじめの一歩として現在の選択は)よかったのかなと思います。

ー自分でハードルを上げすぎないというのは大事かもしれませんね。ちなみに、サポステとのつながりというのは就職してからも続いているんですか?

ぼくが会社で人間関係とかいろいろ困ったときには「何曜日あいてますか?」って電話して、相談にいったりしてますね。知らん人には言えないようなことを自分の中でためておくとあんまりよくないじゃないですか。だから、話したいなって思ったときはサポステに来て会社のことを聞いてもらって、アドバイスをもらったりしています。

ー最後に、山本さんと同じような世代でこれから就職や転職に向き合われるみなさんにお伝えできることがあれば、お願いします。

(悩んだり迷ったりしたら)一人で考えずに、とりあえず誰かに相談した方がいいと思います。親でもいいし友達でもいいし。一人で悩んでると本当に気も滅入っちゃいますし、一つの方法、一つの見方しかできないので、やっぱり他人の見方も聞き入れた方がいいかなと。そうするとまた新たな自分を発見できるし、こっちの方がいいかも、みたいな新しい方向性も見えてくるのかなと。

ー山本さん、とても貴重なお話をありがとうございました!

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【取材後記】

今回取材に応じてくれた山本さんは、サポステふくいさんからのご紹介でした。
インタビューに同席していたサポステスタッフの方が「人前で話すのがそんなに得意じゃなかった山本さんがこういう取材を受けてくれるという、その変化に驚きました」と話しておられて、それに対しての山本さんの返答が印象的でしたのでここに記しておきます。

「自分の経験が少しでも何か他の人の役に立ってもらえればいいかなと。あとやっぱり自分と共感してもらうというか。自分もそうだったけど、共感できることがあると、自分だけがこんなに苦しいんじゃないんだから頑張ろうと思えるので」

それぞれ山本さんとは異なる境遇の中で生活をされていると思います。その中でも、今回のインタビューに少しでも共感でき、次の一歩へとつなげていただけることがあれば幸いです。

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