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求職活動体験者インタビュー|黒田さん(36歳)

「求職活動体験者インタビュー」とは

就職氷河期世代の当事者として実際に求職活動に取り組まれた方のお話をじっくりとお伺いし、その体験談の中から少しでも明日に向きあうヒントを見出していただくための記事です。

黒田さんの場合

ー本日はよろしくお願いします。さっそくですが、現在の状況を簡単に教えていただけますか。
 
よろしくお願いします。
いまは、病院の中にある売店で働いています。通常商品の販売のほか、入院患者さんの衣服なども販売しています。

ーありがとうございます。現在のお仕事に就かれるまでの来歴を、可能な範囲で結構ですので教えていただけますか。

25歳のときに初めて就職をして、そこで4年ほど働きました。途中で体調を崩して休職し、最終的には退職しました。

そこから3〜4年くらいブランクがあって、その間にサポステや福祉総合相談室よりそい*の支援も受けながら、就職に向けて動いていました。

(心境としては)就職しないといけないとは思って過ごしていました。ただ、離職を経験したこともあり、すぐにフルで働くのは(体調管理的に)厳しいだろうなという意識はありました。
働くうえで、自分に合う条件というものを探していたように思います。

サポステのことは知っていたので、支援機関として頼ることにしました。
ひとりでもがくよりも、他の人に手伝ってもらったほうが視野が広がるとも思って。

福祉総合相談室よりそいや地域の活動でボランティアに参加したりして、社会というか、外とのつながりはちゃんとつくるようにしていました。

ボランティアは、生活のリズムを整えるという意味でよかったと思います。
体調的なしんどさもあったけど、それも経験かなと。


ー今のお仕事は、どんなことを基準にして選ばれたんですか?

いまの職場で働く前に、半年間という契約で短期のアルバイトをしました。

PCでのデータ入力を5〜6時間という仕事です。内容的に自分でもやれそうだなと思って始めたんですが、その仕事を通して自分に足りていないことが何かもわかるようになりました。

ちょっと説明が難しいんですけど、1ヶ月くらいの単位で体調を管理する力が落ちているなぁと感じたんです。

初めの職場で体調を崩した原因が「がんばりすぎ」だったので、無理しないようにと思っているんですが、忙しい時期だとついその忙しさに合わせてしまってキャパを超えちゃうなって。

なので、どちらかというと体調管理のしやすさに比重を置いて仕事を探すようにしました。

いまの職場の売店業務自体はそこまで大変じゃないので、自分で体調をコントロールしやすい。

やりたいことで仕事を選ぶのも大事ですけど、いまは自分は自分のやりたいことをやる一個前の段階にいると思っています。自分にどれくらいのことならできるのかを理解して、それができてからやりたいことをやったほうが、長く続けられるなと。

最終目標はそっち(やりたいことをやる)ですけど、いっぺんにそっちまでいこうとは思わなかったですね。

ーなるほど。すごく客観的にご自身を分析されているんですね。仕事を続けていくための体調管理やリフレッシュはどのようにしているんですか?

疲れたなと思ったらすぐ寝て、ちゃんと休むことですね。しんどいなと思ったら飼っている猫にかまったり、音楽を聴いたり。

自分の体調の把握は、その日の体調を色にして日記につけて記録するようにしています。自分では無理をしていないつもりでも、いつの間にかよくないときの色が続いていると「あ、いま無理してるかも」と気づくことができます。この方法は以前の職場で体調を崩してしまったときに勉強しました。

実は一度面倒くさくてやめてしまったんですけど、短期のアルバイトを始めたときにやっぱり続けたほうがいいと思って再開しました。意識的に書くようにしています。

ー黒田さんの今後の目標はありますか?

いまの職場で働き始めてから2ヶ月ほどになるんですが、まずはここで1日8時間を半年間続けることが目標ですかね。その後は正社員になることを目標に。すんなりうまくいかなくても、まぁそれはそれで。


ー最後になりますが、これから黒田さんと同じように就職や転職活動に向かわれるみなさんにお伝えできることがあれば、お願いします。

失敗してもそれで終わりではなくて、ひとつの経験としてポジティブにとらえることで次に進むことができたらなにか(いいことが)出てくると思っています。

年齢でどうのこうのよりも、やった経験を活かすことでどうにかなったりせんかなぁと。

元々は自分も積極的に動けるほうではなかったですけど、いろんな経験をしたことで動きやすくなったし、落ち込みはするけどそれが長引かなくなりました。

いろんなことをやってみて、いいことも悪いことも含めてそんな経験をしてきたっていうことを面接で言えるようになればいいかなと。そういう意味では意味のない経験というのはないんじゃないかなと思いますね。

昔は履歴書の自己PR欄を埋めるのがいやだったけど、いろんな経験をしてくるうちに、それをちゃんと書けばいいと思うようになりました。

ー黒田さん、貴重なお話をありがとうございました!

【取材後記】

初めて勤めた職場での頑張りすぎから体調を崩してしまい、退職せざるを得なくなったという経験をもつ黒田さん。

今回のインタビューを通して、その経験から得られた教訓を忠実に守って次に活かそうとする黒田さんの芯のようなものが随所に感じられました。

「無理しちゃってたからこそ、無理せずを目標に」という言葉どおり、サポステのプログラムや地域のボランティア活動に積極的に参加しながらも、無理をしていると思ったらちゃんと休む。

また、「ダメだったら、それもひとつの経験」という柔軟さを持つことで、ひとつひとつのアクションへのハードルを下げ、その後のリカバリーも上手に早めているようにも見えました。
 
あくまでも自分の体調を第一に考えながら「できること」と「在りたい姿」をゆっくりと近づけていく黒田さんの姿勢は働くことに対するとても素直な向き合い方に思えました。
 
とても客観的に自分を捉えられているように見える黒田さんですが、定期的にサポステや福祉総合相談室よりそいの担当者さんとの面談も設けているとのこと。

わかっているつもりでも、やはり第三者と話すことで改めて気づくことがまだまだ多いという自覚があるからこそ、このような機会を設けているそう。

きちんと相談できる窓口を確保できているということも、黒田さんの安心につながっているのかもしれません。

「自分は何がやりたいか」を考えることと同じくらい、「自分はどう在りたいか」を考えるのも大切なこと。

どちらが先ということではなく、自分自身にあった目標の立て方があることを黒田さんから教えていただいた気がします。

*福祉総合相談室よりそい


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